2011*4*18ブログから

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(回想記事)
先生とのお話の中で気づいた事。。。
大学病院とは、どう言う所なのか。。。
なんとなく、物事が事務的、機械的に運ばれていくようなイメージが私にはあり、先生とお話するまで、先生に対しても失礼だけれど、玲雄を託す先生の事を全く知らないと言う不安があった。

掛かり付けの先生ならば、そこにはこれまでに積み重ねた時間や経験があるけれど、大学病院の先生とお目にかかったのは、手術当日で2回。
玲雄にとっても全く知らない相手で、本犬は、病気を治してくれる人だと言う事も理解できない。
攻撃性こそ無いけれど、なかなか人に心を許さず、なつかない玲雄。。。
大手術(と、言っていいと思う)の後、一変した環境に順応するのだろうか。。。
私にとって最大の不安は、病気そのものよりも、玲雄を数週間、入院させる事だった。

自分の中で一人考えていても不安は募るばかり、思い切って先生に、その時案じていた事、お聞きしたかった事を、伺ってみることにした。
最初は私の方も、言葉を選びながらではあったけれど、できるだけ、率直にお話しするよう心がけた。
先生も率直に答えてくださったように思う。
話して行くうちに、それぞれの立場で、相手に対する配慮や遠慮が、誤解や不安を生じる事もあれば、ストレートに伝えることで、簡単に問題が解決する場合も有ると言う事が解って来た。

ちょっと考えればわかる事だった。
患者の事も患者の家族の事も情報源は検査結果と紹介状のみ。
先生方にとっても、患者の家族は未知の相手で、千差万別。
しかも大学病院へ行くと言うのは、かなり難しい病気、或いは命にかかわる状況が殆ど。。。
患者の家族皆が皆、冷静で居られるわけではないだろう。。。
そのような状況の中、最悪の事態の可能性まで先生方は話さなければいけないのだから、言葉を選びながら、慎重になられるのは当然だ。
先生方も患者の家族に対して、かなり神経を使われているのではないか。。。と。

私自身も、そのくらいの事に、考えが及ばないほど、余裕が無かったということだ。
その事に気づいてから、自身を少し客観的に見られるようになり、頭の中で、その時に話しておくべき事、お聞きしておきたい事など整理がついた。
先生にとっての優先順位、或いは、何に対して危惧されているのかも理解できたように思う。
相手の立場や考え方が多少なりとも理解できれば、信頼も生まれてくる。
信頼が生まれれば、コミュニケーションが取れるようになるので、不安やストレスは軽減され、冷静に物事を考え、判断できるようになり、自分のすべきことも見えてくる。

先生にとって、私は面倒な患者の家族だったかもしれないが、私は時間を割いてくださった先生にとても感謝している。
この機会が無ければ、私は、一旦自宅に戻っても、自宅でじっとはしていられなかったかもしれない。
結果、玲雄の治療の邪魔をしていたかもしれず。。。
今になって思えば、沢山の患者の家族を見て来られた先生には、それが解っておられたのかもしれない。
退院の際、ただ自宅で待っていただけの私に「お母さんも良く頑張ってくださいました」と先生。
先生は、私の心中も察してくださっていたのだろう。
面会。。。
玲雄が入院していた16日間、結局私は一度も面会していない。
手術の時に預けて以来、次に会ったのはお迎えの時。
検査の時に、病院の待合室で、他の患者さん(家族)と話をしている際、面会の話も出て、その時の様子などもお聞きしていた。
大学病院で手術をした友達は比較的早い時期に面会させてもらったとも話していた。
実際、手術前の先生のお話でも、入院中の面会についてのお話があった。
なので、自宅に戻る前に、きちんと先生と今後のお話をせずに、不安を抱えたまま帰宅していれば、不安にも、不満にも思ったかもしれない。

友達も、私が玲雄に会えない事を随分心配してくれた。
過去にたった一度、一泊二日の入院の時でさえ、一日に二度、様子を見に行ったくらいなので、私自身、こんなに長く、家でじっと待っていられるとは思わなかった。
勿論玲雄の為と思えばこそだけれど、この事に関しては、先生にも、とても感謝している。

先生と今後の事を話し合って、帰宅を決めた際「状況に変化があれば、電話をします」と、仰ってくださった言葉の通り、先生は様子に変化がみられると、電話で状態を知らせてくださった。
玲雄の状態はなかなか安定せず、それに伴って連絡を頂く機会も増えた。
その内容の端々に、病状以外の玲雄の様子も垣間見られて、私には先生の言葉以上に、玲雄の様子が手に取るようにわかった。
こちらから電話をかける場合は、どうしても遠慮が有る。
けれど、受付の方も、先生も、いつも気持ちよく対応してくださったので、電話をかける事へのストレスをあまり感じずに済んだのも有りがたかった。
事前に、先生がとりわけ忙しい曜日、時間帯などを伺えたので、そこを避ける事が出来たのも、よかったのかもしれない。
なので、私も「今後の事は全て、先生に任せしますので、先生から連絡を頂くまでは、こちらには伺いません」の、自分の言葉に責任を持つ事が出来た。

恐らくは、面会のタイミングも、患者から家族を遠ざけるのも、治療の一環で、患者の病状、性格、飼い主のタイプによって、考えて対応を変えておられるのではないかと思う。
玲雄の場合、先生が面会を避けたい理由を私なりに、察することはできる。。。
玲雄の事を聞かれた後で、「デンと構えられませんか?」と尋ねられたので、正直に「無理です」と答えると。。。
「どうも玲雄ちゃんはお母さんの気持がもろに反映されそうなので、お母さんが不安を抱えていると、玲雄ちゃんも不安になって良くない影響が出そうな気がします」と指摘された。
それに吠えると傷が塞がらず、再手術の危険が増す状況にもかかわらず、玲雄は吠え続けていたらしい。
なので、もし私が面会に行けば、帰った後が大変なのではないかと先生は危惧されていた節もあり。。。
それにも増して、玲雄はなかなか先生方に慣れず、飼い主が行く事でそれが助長され、益々コントロールしずらくなると懸念されていたのではないかとも思う。

私自身も感じていた事だ。。。
私が今までの経緯から、玲雄を他者に預けるのが不安でたまらないのだから、玲雄が他者になかなか心を開かず、家族と離れるのが不安なのは当然だ。
そもそも、玲雄が病院で吠え続ける元凶は私だろう。
こんな事を言うと笑われそうだけれど、玲雄には私の心の中が見えているような気さえする。
玲雄の気持ちを考えると居たたまれなくなる事もあったけれど、私が考えていた以上に、玲雄が、精神的にも肉体的にも、タフで逞しかった事に私は救われた。