★物言えぬ悲しさ★

先週我が家のご近所で、飼い犬が子供を8カ所も噛み、その上逃げ回った子供が、のり面から落ちて、かなりの怪我をしたという事故が起き、そのわんちゃんは、即座に通報され、保健所へ・・・と、聞いた。

実は数日前、今にして思えば「あれがそうだったんだ」と言う出来事があった。その日、犬の悲鳴に気が付いて(普通の吠え声ではなかった)ベランダから覗いてみると、あるお宅の前に軽トラが止まっていた。以前鑑札を付けた犬が我が家の庭に迷い込んで来たときに、保護して保険所で探して貰い、飼い主が老齢で迎えに来れないので、自分が連れて行きますと、来てくださった時の保健所の車と同じように見える。作業服を着た男性が、そのお宅の前で、何かを追うように右往左往していた。その時、そのお宅のお隣に向かって「・・・子供を・・・出さないで・・・・・」と言っていたのだが、遠いので良く聞き取れない。我が家は少し高い所にあるので、ベランダから様子は見えるのだが、距離が遠く、声が聞こえないので、何が起こっているのかわからない・・・家の人らしき姿も、犬も見えず、道路を右左、走り回る男性の姿と、家の中(庭)で叫ぶ犬の鳴き声だけ・・・。気になって降りてみる事にした。庭のそのお宅が見えるところにまわってみると、丁度、庭に出ていた玲雄も、ジーっとその場所を見つめていたが、その時はもう、車が立ち去る瞬間だった。
何が起きたのだろうか・・・確かそのお宅には4頭のMix犬が居た筈・・・そこにノラのわんちゃんでも迷い込んだのか?この辺はイタチ、狸、マムシ、色々出没する・・・それともこの季節、予防接種?この辺りはお年よりも多く、沢山の犬の集る会場に連れて行けない子(犬)も多いとかで、予防接種に来て頂くのも珍しい事では無いと聞いていた。でもそのお宅の奥さんは確か、私と、同年輩の方だったような・・・。いつも庭に繋いでいるお宅なので、まさか、こんな事故があったとはその時は、夢にも思わなかった。


町内のお仕事とか、公民館のサークルなどはできる範囲、出かけては行くものの、殆ど家からでず、井戸端会議にも参加しない私は、詳しい事はわからないものの、回ってきた回覧版と、チラホラ耳に入ってくるお話で、今回の事故を知ったのだった。
回覧版には、「〇組の犬が、鎖を切って逃げて、子供を噛んで、その子が崖から落ちて、こうこう、こう言う怪我をしたので、犬を飼っている人はきちんと管理をしてください」とだけ書かれてあった。

当たり前なのかもしれないが、そこの経緯、原因、状況、その後の犬の顛末などは無し・・・。

その犬を飼っていたお宅の奥さんと、2度、ちらりと、お話した事がある。一度目は、その家の前を玲雄を連れて通る際、たまたま家の前に奥さんがいらして、お互い「ご近所のご挨拶」をして、先方さんが、「最初家には2頭だったのですが、実家で病人が出て、そこの2頭を引き取ったので、4頭になって、ご近所の事もあるし、塀を高くしたり、色々してるんだけど、大変で・・・」と言うような事をおっしゃっていた「住宅地の真中で、これだけ(1日中よく吠えているから)、4頭で吠えられたら、本当にご近所の手前も大変だろうな〜」と印象に残っている。もう一度は、そこのお宅の子とは知らずに、たまたま、私が庭に居る時に、家の前を小学校の高学年くらいの男の子が犬を連れて通りかかり、我が家の駐車場と道路の境に犬がウ〇チをしたのをそのまま立ち去ろうとしたので、「僕、飼い主はフンの後始末をしないといけないのは、知ってる?」と声をかけ、何も持っていないというので、ビニール袋を渡していた所に、お母さんがやって来て、その時に・・・。

実際どう言う御宅で、どんな飼い方をしているのか詳しい事はわからない・・・ただ、昼間は留守宅で、南面のお庭に、よくある(?)犬小屋を置き、それぞれにリードのようなもので4頭繋がれているのは外からでも見える。
我が家のご近所はつながれている子が殆どで、留守宅も多い・・・盆地に近い地形なので夏の暑さはかなり厳しく、毎年何頭かの犬が天国へ行ってしまう。もともとお節介な私は、夏場、ペットボトルに水を入れ、何度も町内を廻ろうかと思ったけれど、そう言うわんちゃんはあまりにけたたましく吠えるので、さすがに近づくのがちょっと恐い。同じ吠えているのでも、顔を見て(顔を見れば、危ないかどうかなんとなくわかるから)吠えられても恐くない子もいるけれど、庭とは言え、よそ様のお宅に留守中無断で入るわけにもいかないし・・・。「余計な事を」と、近隣トラブルの火種を自分で撒くわけにも行かず・・・、お散歩の際、ずるいと思いながらも、そう言う子達を見ないようにと、私の心の中には、買い物やお散歩の際、夏場は通らないようにするお宅のリストがある。いつ水が飲めるかもわからないのに、玲雄を連れて通ってギャンギャン吠えあうと、余計に喉も渇くだろう・・・。正直な所、今回のお宅も私のそうした、心のリストに載っているお宅だった。

どんな理由があるにせよ、犬が人を噛んでしまうと、悲しいけれどどうしようもない場合が多い・・・今回の子供が、どれほど恐い思いをして、心の傷と体の傷をおっただろう・・・。命に別状が無かったのが、不幸中の幸いではあったと言うことだけれど、その子はきっと犬を見る度に恐怖が甦るのではなかろうか・・・。

8ヶ所も噛んだと言うのは、その犬が精神異常を起こしていなければ、パニックを起こしていたと言う事では無いんだろうか・・・
その原因は?もしかすると家の前の空き地で遊ぶ子供をテリトリー意識から排除しようとして、怯えた子供の声でテンションがあがったのかもしれない・・・それとも何かあって恐くて逆切れしたのだろうか?犬が本気で獲物を狙らう気持ちで子供を襲ったのなら、一噛みで致命傷を追うのでは?犬は本気で噛んだら、離さないような気がする。
耳に入ってくる噂はバラバラで、本当の所はわからない・・・「犬は口輪をはめられていたから、噛み犬だった」「子供が口輪を外した」「犬が鎖を切って逃げた」「子供が離した」etc・・・。
今回の事情を子供に問うのは酷だと思う。恐い思いをした事を、難しいかもしれないけれど、少しでも早く忘れて欲しいと思う。

飼い犬が何か起こせば、飼い主の責任、その飼い主さんがどう言う責任の取り方をされたのか、私は知らない・・・。
万に一つ、私の留守中に同じ事が起こったら。。。私にどんな責任がとれるのだろう。。。と、思う反面、私の目の届かないところでは、理由があっても彼には伝えるすべも無く。。。室内飼いなので、その可能性は低いけれど、それでもやっぱり考えてしまう。
日ごろは、玲雄が何を言っているか、なんとなくわかったような気もちでいる私。
あの子が喋れないと言うことを考える事も無いくらい、コミュニケーションに不自由する事も殆ど無い。それでも、何か事があった時、私が見ていなければ、玲雄は何も伝えられない。
自分の犬は自分しか守ってやれない。加害者にも被害者にもならないように・・・。